無料のクラウドストレージの場合、サービスによってはセキュリティが不十分で企業での利用に適していないことがあります。もしセキュリティの強度が不十分である場合には、情報漏洩のリスクもある点に注意が必要です。
ただし無料のサービスでも対策が進んでいるサービスもありますので、検討しているサービスのセキュリティについては十分に確認した上で選択することが重要であるといえます。
クラウドストレージを利用する中で、万が一何らかのトラブルが発生した場合には、企業活動がストップしてしまう可能性もゼロではありません。例えば必要なデータにアクセスできないなどの状況が出てくると、業務が進められないといった状況になるケースもあるでしょう。
このようなトラブルが発生した場合、どれだけ迅速に対応してもらえるかが重要です。有料サービスの場合にはこのようなトラブル発生時のサポートが充実しているケースが多いといえますが、無料のサービスの場合には迅速なサービスが期待できないケースもあるかもしれません。
企業ではそれぞれセキュリティポリシーを設けています。無料のクラウドストレージの場合、自社のセキュリティポリシーに対応できていないために利用を禁止している企業もあるのではないでしょうか。セキュリティポリシーにそぐわないサービスの場合は、企業で利用することは難しいといえます。
無料のクラウドストレージを利用していたとしても、利用していくうちに保存容量を増やしたい、ユーザー数を増やしたいなどの希望が出てきた場合には、有料版に切り替えを行う必要が出てきます。このように、当初は無料だったものの、最終的には有料版を使わざるを得なくなったといったケースも考えられます。
保存できるストレージの容量についても、有料版と無料版では異なります。一般的には有料版の方が保存できる容量が多い傾向があります。無料版の場合には、5GBから20GB程度の容量となっているものが多く見られます。
対して有料版の場合は、サービスによっても異なりますが1TB以上の大きな容量に対応しているケースが多いといえるでしょう。例えば動画データなど容量の大きなデータを使用する場合、容量が小さい場合にはすぐに一杯になってしまう可能性が考えられます。
利用できるユーザー数もクラウドストレージを選択するにあたって重要なポイントです。無料のクラウドストレージの場合には、対応ユーザー数が1人から数名となっているサービスが多いですが、有料のサービスの場合には、利用できるユーザー数が無制限というケースも多く見られます。
有料のクラウドストレージの場合、無料版と比較するとセキュリティ強度が高いといえます。例えばアクセス制限、IPアドレスなどを用いた制限が可能となっていますし、万が一データ流出という状況が発生したとしても、履歴を確認することで経緯を把握できます。さらに、ファイルを転送する場合にはパスワードをかけたりダウンロード制限を設けられたりすることから、安全性の高さが特徴といえます。
対して無料のクラウドストレージの場合もセキュリティに関する機能は搭載されているものの、法人で利用する場合に適した機能が用意されているかの確認が大切です。企業では個人情報や機密情報などを扱うことから、セキュリティの高さは重要なポイントといえます。
有料版と無料版では、転送速度にも違いが出てくる場合もあります。一般的には、有料版の方が転送速度は早い傾向があるといえます。容量が小さいデータを扱う場合には転送速度はそれほど気にならないかもしれませんが、大容量のファイルを使用する場合には、速度が気になることもあるでしょう。
あまりにも速度が遅い場合には、業務に支障が出てくる可能性もあります。これらの点を考えると、容量が大きなデータを扱うことがある場合には、転送速度が速いクラウドストレージを選択することがおすすめといえます。
無料のクラウドストレージサービスは、個人向けとなっているものも多くあります。このようなサービスの場合、個人アカウントで利用しているものを法人の業務では使用できないケースもありますので、注意が必要です。
中でも規模が大きな企業の場合には、法人で契約していないサービスを利用する場合には、監査などで問題となる可能性も考えられます。このようなトラブルを起こさないためにも、法人でクラウドストレージを利用しようとする場合には、法人契約を行った上で利用することが必要です。
無料版のサービスを利用する中では、サービスが突然終了する可能性がある点もあらかじめ頭に入れておくことが大切です。以前は無料のクラウドストレージを提供していたものの、現在は有料版のみになっているサービスも多く見られます。
例えば、データを預けていたもののいつの間にかサービスが終了していた、という状況に陥る可能性もあります。サービスが終了すると、データが自動的に削除される場合もありますので、無料のクラウドストレージを使用する場合には、サービス提供元からのお知らせをしっかりと確認しておくことが大切です。
無料のクラウドストレージを利用する場合、社内のチームや小規模の企業など、責任を持てる人を含めた少人数のみで共有する方法があります。この方法を使用することにより、特定の相手のみと共有できるために安心して利用できるメリットがある点に加えて、共有のレベルも「閲覧のみ」「編集可能」といったように、それぞれの人ごとに設定ができます。
その反面、管理者機能がないため「いつ誰がアクセスしたのか」「誰が誰とどのファイルを共有しているのか」など利用状況が把握することが難しくなります。このような点から、セキュリティの管理方法には課題があるといえるでしょう。そのため、機密度が低いやりとりをする、一時的にやり取りをする、セキュリティに責任を持てる人が関わるケースなどは利用するといった選択肢もあるかもしれません。
無料のクラウドストレージを利用する場合、もしも誰かに見られても問題ない内容について多くの人とシェアしたい場合などは、「共有リンク」を利用する方法もあります。これは、クラウドストレージ内に保存したファイルの共有リンクを、データを共有したい相手に送信し、相手からアクセスしてもらう方法です。
この方法であれば、リンクを知っている人であれば誰でも該当のデータにアクセスできます。共有したい場合にもリンクをメールやSNS、チャットなどで知らせるだけで手間がかからないというメリットがあります。その反面、リンクを知っていればアクセスができることから、機密情報を管理したい場合にはこの方法は向いているとはいえません。また、共有リンクしたファイルについては、共有の必要がなくなったタイミングでリンクを削除しなければならないという手間が発生します。
こちらの記事では、無料のクラウドストレージは法人で利用ができるのか、また有料版との比較について解説してきました。企業ではさまざまな情報を取り扱っており、外部に漏れてはいけない情報も扱います。そのため、セキュリティ面がしっかりしているサービスを利用することが非常に重要であるといえるでしょう。
また、企業の場合は誰か一人が利用するのではなくさまざまな人がクラウドストレージを利用しますので、対応ユーザー数が多いサービスを利用することが必要になりますし、転送スピードも早いことで業務がスムーズに進むと考えられます。
このような点から、法人でクラウドストレージを利用する場合には、有料版の方がおすすめといえるでしょう。さまざまなサービスがありますので、自社のニースにあったものを選択してください。